24日 誕生日にむけて2(moc)

 

Novel

 もうすぐカラーの誕生日だ。来る日に備えて各々が準備を進めていた。ベルガモットはカラーに似合う服を探しに。プレゼントに悩んでいたジニアはベルガモットについて行った。
 そして俺はアクセサリーを贈ろうと検討していたところだった。広場のベンチに座りながら壁に貼られた広告や、元気の良い女性が配っていたビラを眺める。ふとブティックの文字が目に入った。
 アクセサリーかあ……いいと思うけれど、それならベルガモットと相談した方が良いだろう。俺も二人と一緒に行けばよかったな。
 空腹で頭の回らないお昼時だ。考えもまとまらず呆けてしまう。
「こんにちはシオン。お一人ですか?」
「えっ!?あ、ああ……そうだけど」
 突然現れたカラーに驚き、眺めていたビラを慌てて背に隠す。そんなシオンの様子を見て驚いた様子の彼女だが、詮索することはなかった。彼女の後ろには執事のライラックも控えていたが、それはいつも通りの光景だ。特別気にするようなことではなかった。
 カラーは早朝から近くの教会へと出向いていたはずだが、用事はもう済ませたのだろうか。神の使いだって人間だ。お昼になればお腹も空くだろう。
「この街に滞在している間にベルと行きたいお店がありまして……ランチに誘おうと思ったのですが」
「あー……ベルガモットはジニアとちょっと行きたいところがあるみたいだからさ」
 たぶん夕暮れまで宿には戻らないと思う。そう告げるとカラーはしゅんと落ち込んでしまった。まだ当分この街に居座る予定とはいえ、何が起こるかはわからない。出来る事なら早目に済ませておきたいだろう。
 ——よければ俺と行くか? その言葉は飲み込んだ。カラーはベルガモットと行くことに重きを置いているに違いないから。
 だから俺は俺として、カラーと楽しもうと思う。
「今日は三人でお昼食べるか。目の前のパスタ屋ずっと気になっててさ」
「私は食事を必要としませんが」
「いやまあそうなんだけど……ライラックも食事の席は一緒だろ?」
 俺とライラックはどうも噛み合わない。そんな俺たちを見て彼女はくすくすと笑って頷いた。
 プレゼントは……食事中にそれとなく聞いておこう。