26日 カティーナ2
Novel
赤は嫌いではない。この瞳が嫌いなだけ。
別に世界の全てが憎いわけじゃない。私だって人を愛してしまったこともあるし、カイと姉弟の真似事をして暮らすことは楽しい。
人間は……嫌いだけれど。その元凶の奴等はとうの昔にいなくなったから、今はそうでもない。愚かで無力な彼らに、気まぐれで力を貸してあげるくらいには可愛がっていると思う。
「私には家族がいて、好きな人もいるわ。普通の女の子みたいでしょう? それで満足出来れば、そうあれたんだろうけどね」
それら全てを投げ打ってしまえるほどに、神が憎くて、恨めしくて、アイツを鎖で締め殺して、擦り切れて擦り切れてボロボロになるまで引き摺り殺してやれたらと。そう呪わずにはいられないのが、私という魔女だった。
「自分本意? そんなのアイツに比べたら可愛いものよ。だって、あなたも私も、こんな目に合っているのは全てアイツのせいなのよ? あなただってわかってるでしょ?
ねえ——?」
目の前の、赤い瞳を持つソレに、いつもの二文字を囁いて、魔女は世界を壊した。