16日 Happy Birthday Sion(moc)
Novel
「シオン、ハッピーバースデー!」
仲間たちの歓声と共に紙吹雪が舞う。
ジニアとベルガモットから貰った真っ赤なジャケットを羽織り、カラーとライラックが準備してくれたチキンを頬張る。舌に走るピリッとした刺激はきっと、シオンの好みに合わせたのだろう。そんな料理たちが目の前に山積みで並んでいた。
「少しはりきりすぎたかもしれませんね」
「大丈夫だって。オレとシオンで全部平らげてやるから」
「わたしとカラーの分も残してよ!」
「そのときは私が追加で作ってきましょう」
カラーが照れて、ジニアが冗談で和ませ、ベルガモットがそれに便乗し、ライラックがフォローする。なんてチームワークだろう。本日の主役であるはずのシオンが一番蚊帳の外だった。
「シオン、ケーキはどうでしょう? 頑張って三段のものを焼いてみたのですが……」
「……うん。美味しいよ」
ありきたりな言葉だけれど、それでもカラーは笑ってくれた。彼女だけではない。みんなシオンの生誕を心の底から喜び、それを分かち合おうとしている。
きっと自分は幸せ者だ。己の生を祝福してくれるような、素敵な仲間に恵まれるなんて思いもしなかった。亡くなった両親や未だ探し続けている妹にも知らせてあげられたらと、思わずにはいられない。
願わくは来年も……その時には最愛の妹も一緒にいてくれたらと。
「ありがとう、みんな」