13日 膝の上(Farbuer)
Novel
晩ご飯の仕度をしないといけないのに……ベルデの理性はそう訴えかける。それでも今はただ、膝の上のぬくもりを感じていたかった。寝息を立てて、年相応のあどけない寝顔を晒すカーティスのことが、ベルデはとても愛おしい。出会った頃の——心も身体も傷だらけだった彼が、こんな穏やかな表情で眠るなんて本当に夢のよう。
心がどれだけ満たされようともお腹は膨れないもので、ベルデの胃は空腹を訴えかけた。今日の晩ご飯はカーくんの大好きなポトフだよって言ってあげたかったのに、帰ってきて倒れ込むように寝てしまうんだもの。ベルデは少し寂しく思う。それでもこの家があなたにとって心休まる場所であるのなら許せてしまうのは惚れた弱味だろう。
今一度、カーティスの寝顔を覗き込む。それだけでベルデは笑顔になれた。
「おやすみカーくん」
ポトフは彼と一緒に作るとしよう。